介護士の頑張りが高齢者を新型コロナ感染から守っている!
新型コロナウイルスの全国での感染者数は、2020年8月3日をピークに徐々に減少しつつあります(9月7日現在・厚生労働省のデータより)。しかし現在でも、東京都では新規陽性者が100名を超え、また、沖縄県も7月末からの感染拡大が続いています。
まだまだ、新型コロナウイルスの感染収束には時間がかかりそうです。
沖縄県では、特別養護老人ホームなどの福祉施設で、複数のクラスターが発生しました。
そのため、県は各施設に、改めて感染防止策を徹底するよう求めています。
しかし、沖縄では誰から感染したかが特定できない「市中感染」が増えており、「気をつけていても知らないうちに施設に(ウイルスを)持ち込んだ可能性はある」と言われています。
京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥さんのインターネットサイトの情報発信によると、新型コロナウイルスは、感染しても30~50%の人は無症状(もっと多い可能性もあり)。
しかもこのウイルスは、症状が出る前や無症状でも、他者に感染させることがあると指摘されています。
新型コロナウイルスは、非常に感染予防が困難なウイルスです。
施設等ではどれだけ職員が気をつけていていも、ウイルスが持ち込まれる可能性をゼロにするのは難しいことを感じます。
■新型コロナウイルス感染者の年代別の動向
年代別の新型コロナウイルス感染者数のグラフの通り、60代以上の感染者数は50代以下に比べて少ないものの、重症者割合は高く、死亡率も80代以上では20%近くに上ります。
高齢者には感染させないことが大切だとと、改めて感じます。
日本では、欧米各国に比べて新型コロナウイルス感染による死者数が少ないことが明らかになっています。その理由の一つとして、高齢者施設でのクラスター発生が比較的少ないからだという指摘があります。
それだけ、日本の介護職は感染予防を徹底し、ウイルスを退けることに成功しているのだと言えます。介護職の頑張りに、改めて感謝したい思いです。
『新型コロナ感染リスク』と『高齢者のQOL』どちらを優先すべきか?
高齢者への感染を防ぐ。沖縄県内のデイサービスではそのために、複数のデイ利用をやめて、1つのデイ利用に変更するよう、利用者に協力を求めるところも出ています。
複数のデイサービスに通う利用者が多いと、感染が拡大するリスクは高まります。
実際、3月には愛知県で複数のデイサービスに通う利用者の感染により、2つのデイとその関係者に新型コロナウイルスのクラスターが発生しました。
沖縄のデイサービスとしては、『利用者を守るという視点』、そして『運営に支障を来さないようにという視点』の2つの視点から、利用制限を検討せざるを得なくなっているのだと思います。
クラスター発生リスクを下げるため、今後、市中感染が増えている地域の通所事業所では、そうした自衛策も考えていく必要があるのかもしれません。
しかし、多くの高齢者は重症化リスクが高いからと、すでに外出を自粛したり、家族に外出を制限されたりしています。この上さらに、貴重な外出機会であるデイサービスの利用も制限され、好きなデイに行けなくなっては、高齢者のQOL(生活の質)を保てるのだろうかとも思います。
感染リスク低減とQOLの維持と、どちらを優先するのか。
二者択一はできませんが、どちらにより重点を置くのか、介護職としても考えていく必要がありそうです。
介護職はストレスをためすぎないよう気分転換を
一方、介護職自身も、新型コロナウイルスの感染リスクを避けるため、外出や会食を控え、友達ともなかなか会えない日々が続いているのではないかと思います。
長期間のストレスフルな状況にありますが、使命感から、ストレスがたまっていることに気づかない可能性もあります。
前述の通り、新型コロナウイルスの感染状況は、まだ収束が見えません。長丁場になるだけに、気持ちを張り詰めすぎず、意識して息抜きの時間を持つ必要があります。
「3密」にならない趣味活動やオンライン飲み会・お茶会なども、いい気分転換になりそうです。
そして職場では、誰かが過剰にストレスを抱えていないか互いに声を掛け合い、この難局を仲間と共に乗り越えていっていただきたいと思います。