納得できる施設が見つかったら、いよいよ契約です。重要事項説明書で、契約内容をしっかり確認し、わからないことがあれば質問しましょう。
契約手続き
介護施設との契約では、様々な書類を扱うことになるので、一つひとつ確認しましょう。
まずは、入居する意志を表明するために、入居申込書を申込金(入居一時金、保証金など)とともに提出します。
入居申込書が届くと、施設において本人面談が実施され、身体状況や生活状況について確認されます。
問題がなければ、住民票や健康診断書などを提出し、入居契約書、重要事項説明書、管理規程などをチェックの上で契約します。
契約関連の書類
- 【入居申込書】入居する意志と、住所や家族などの基本情報を記入する書類
- 【入居契約書】入居条件等を確認し、署名・押印して入居契約を結ぶ書類
- 【重要事項説明書】運営会社の情報、提供されるサービス等を確認する書類
- 【管理規程】介護施設の運用規定と利用上の条件を確認する書類
重要事項説明書
重要事項説明書は、施設が入居者に対して契約書の内容をわかりやすく伝えるための書類です。介護施設には、契約の際、重要事項説明書に基いて説明することが義務付けられています。
重要事項説明書の説明は多くの場合、施設で行われます。施設の概要や職員体制、サービスの内容や料金などが記載されているので、わからないことがあれば、その場で質問してください。
なお、重要事項説明書の項目や名称は地域や施設によって異なりますが、多くの場合、以下の項目が記載されています。
重要事項説明書の記載項目例
- 施設の概要
- 従業員に関する事項(職員体制)
- サービスの内容
- 重要事項説明書
- 介護サービス等の一覧表
- サービス利用(料金)書
- 個人情報使用同意書
費用に関するチェックポイント
重要事項説明書では、一時入居金や月単位で支払う利用料などの金額を再度チェックしましょう。
特に注意しておきたいのは、契約方式・プランによる一時金と月額利用料金の違いと、一時金の償却に関する決まりです。
これらはしばしば、トラブルのもとになるので不明点は必ず質問し、納得がいくまで説明を受けてください。
例えば、こんな点に注意
- 契約方式ごとの支払金額はどうなるか
- 入居一時金の返却として、90日以内に退所した際の返金ルールは明記されているか
- 返金はどのように行われるか
サービス・運用方針のチェックポイント
サービスの内容は、「介護サービス等の一覧表」などを見ながら、介護保険で提供されるサービス、一時金や月額費用の範囲内で提供されるサービス、そして別途利用料を支払うことで提供されるサービスをチェックしましょう。
特に、提供医療機関によるサービス提供、事故発生時の対応、トラブルの対応方法については、しばしば問題になるので、運営方針とともに、しっかりと確認してください。
サービス内容についての注意事項
- 提携医療機関の診療科目や健康相談・診断の実施状況はどうか
- 賠償すべき事故発生時の対応や損害賠償責任保険の加入状況はどうか
- トラブルの対処方法やトラブル事例の情報は開示されているか
契約時に必要なもの
介護施設と契約するにあたっては、入居者側も住民票や健康診断書などの書類を事前に用意しておきましょう。健康診断書は、取得に2週間~1ヶ月かかる場合もあるので、注意してください。
何が必要になるかは施設によって異なるので、以下の例などを参考に、施設やケアマネに確認して下さい。
契約時に必要な書類など
- 戸籍謄本
- 住民票
- 印鑑証明
- 印鑑
- 健康診断書(施設指定の項目があるもの)
- 診療情報提供書、看護サマリーなど(入院されていた方)
- 連帯保証人・身元引受人
入居時に必要なものの例
- カーテン
- ベッド(レンタルも可)
- テレビ
- タンス
- 冷蔵庫
- 洗濯機(共有の場合もあり)
- 食器
- 衣類(服・下着・パジャマ・紙おむつなど)
- タオル類
- 靴(外履き、内履き、リハビリシューズなど)
特に料金についてなど、金銭関係は後からトラブルになることも。
毎月にかかる費用のほか、介護保険自己負担分や医療費、おむつ代など、⽇常⽣活費で負担しなければならない費用については、事前に確認しておきましょう。
契約内容に納得できれば、署名・捺印をして、契約完了となります。
入居後のトラブルに発展しないためにも、ここで疑問点や不安を解消しておくことが大切です。
「重要事項説明書」のチェックポイント
老人ホーム探しもここまでくればもう安心、なんて思っている方は要注意です。
トラブルが起こりやすいのは、入居前よりもむしろ入居後。
後悔することがないように、契約時に説明される重要事項説明書にはしっかりと目を通しておくようにしましょう。
ここでは、重要事項説明書の中でも特に注意して読むべきポイントをご紹介していきます。
入居一時金の初期償却
「初期償却」とは、入居した段階で入居一時金の中から老人ホームに支払うお金のこと。入居一時金の30%を初期償却にあてる老人ホームが比較的多いと言われています。
入居後に返還されることはありませんので、初期償却の比率が低いほど、途中退去時に戻ってくる返還金は多くなります。
入居一時金から初期償却を差し引いた金額は、老人ホームが定めた期間で償却されていきます。
この老人ホームが定めた期間を償却期間といい、償却期間が長いほど、途中退去時の返還金が多くなる仕組みです。
契約書や重要事項説明書はよく読んでトラブルがない様にしましょう。
契約内容の確認は慎重に
老人ホームは長期にわたって生活の場となる施設です。
慌てて契約して大事なことを見落とすと、あとで大きな後悔を招くことにもなります。
事業者によっては、少しでも入居者を多く集めたいので、契約を急かすこともあるかもしれません。
しかし、それに合わせて急いで契約する必要はありません。
不安に感じる点や疑問点など、「入居後に問題が起こるのではいか」と考えられる事項があるときは、それを解消し納得できるまでは、契約書に印鑑を押さないようにしましょう。
契約を行う前に、家族と繰り返し相談することが大切です。
必要に応じて、友人や契約に詳しい専門家などに話を聞いてもらうと良いでしょう。
施設側と話し合いを重ねることも大事です。