転職先の老人ホームが買収された! 大丈夫なのかな?
26歳/男性
民間企業が運営する老人ホームに転職しました。仕事にも職場にも慣れてきたと思った矢先、突然、その老人ホームが別の企業に買収されることに! 法人の理念や経営者の考えに共感して転職したホームだったから、がっかりです。転職活動中は、買収の話なんてひと言もなかったのに…。買収先の法人に変わったら、仕事のやり方や職場環境も変わるのでしょうか。この先、どうなるんだろう…? 不安でいっぱいです。
アドバイス
現場で直接高齢者に接しながら働く介護スタッフにとっては、介護をビジネスと考える機会は少ないかもしれません。しかし、超高齢化社会を背景に、将来の成長が見込める分野として、介護事業は注目のビジネスです。その証拠に、他業界からの参入が加速し、ブームの様相さえ見せています。
とはいえ、参入した企業が質の高いサービスを行い、しっかり営業利益を出し、良好な運営を続けていけるかが問題。もし、財務状況が悪くなれば、介護サービスそのものを続けることも、スタッフに賃金を支払うこともできなくなってしまいます。そうなれば、民間企業ですから、倒産や買収の可能性は避けて通れません。
今回のあなたのケースでは、これまで運営していた企業が経営的に継続は無理、あるいは継続はプラスにならないと判断したのでしょう。寝耳に水の出来事に、働くスタッフも入居者も不安になるのは当然です。
しかし、買収はなにもマイナス要素ばかりではありません。
買収した企業から見れば、その施設を自分たちが運営することで、ビジネスとして収益を上げられると見込んだからこそ、買収に踏み切ったわけです。新しい運営者は、非常に前向きな姿勢といえるでしょう。もちろん、高齢化社会を支えるといった、社会的な意義や地域貢献などの考えもあるかもしれません。ただ、総合的に見て自社にプラスにならないと判断すれば、買収の話はなかったはずです。
そう考えると、買収は施設にとってプラスの転換点です。
買収した新たな運営企業は、これまでの問題点を洗い出し、解決しようとします。今までの膿を出すチャンスの時です。それによって、人事や評価がより正当なものになったり、スタッフの福利厚生など待遇が良くなったり、働きやすい環境に変わることも考えられます。また業務効率が上がったり、サービスの質が上がることもあります。
どう変化するかわからない中では、スタッフの方たちには戸惑いや混乱もあるでしょう。しかし、ここは慌てずに、まずは継続して働いてみてはいかがでしょうか。
もちろん、いざ動き出してみると、新しい運営の方向性や介護理念などが、自分に合わなくなったと感じることもあるかもしれません。
その変化を見極めてから、転職を検討しても遅くはありません。