『クロワッサンで朝食を』

◆Movie Infomation◆
■作品名:クロワッサンで朝食を
■販売元: ポニーキャニオン
■原題:UNE ESTONIENNE A PARIS
■製作年:2012年
■発売日: 2014年2月4日
■製作国:フランス/エストニア/ベルギー
■配給:セテラ・インターナショナル
■上映時間:95分
■監督:イルマル・ラーグ
■脚本:イルマル・ラーグ、アニエス・フォーヴル、リーズ・マシュブフ
■キャスト: ジャンヌ・モロー、ライネ・マギ、パトリック・ピノー

孤独で気難しい老婦人のお世話をするヒントが?

この作品は、エストニアからパリにやってきた家政婦のアンヌ(ライネ・マギ)と、高級アパルトマンに住むエストニア移民の孤独な老婦人・フリーダ(ジャンヌ・モロー)との交流を綴るヒューマンドラマ。

認知症の母を亡くしたばかりのアンヌの元に、若い頃憧れていたパリでの介護の仕事が舞い込む。娘に背中を押されて、心機一転パリへ旅立つが、待ち受けていたのは、エストニア移民でありながら母国語を話そうとしない、高慢で毒舌の老婦人・フリーダだった。シャネル・ファッションに身を包み、高級アパルトマンで生活しながらも孤独な日々を送るフリーダは、家政婦など雇った覚えはないとアンヌを冷たく追い返そうとする。フリーダの身を案じてアンヌを雇ったのは、カフェを経営するステファン(パトリック・ピノー)という男。この3人が織りなす人間模様が、静かに淡々と描かれている。

この映画は、たんなる母国を同じくする女性同士が、お互いを必要とし、固い絆を結んでいくといった単純なストーリーではない。どうやったら孤独で気難しい老婦人の世話をすればよいのか、どうすれば心を開いてもらえるのか、そんな介護に通じるような人と人との向き合う姿が、とても丁寧に描かれている。おそらく介護職で働く人であれば、一人は思い当たり手を焼いているであろう(?)気難しいタイプの利用者と接するヒントを、この映画から感じられるのではないだろうか。

ちなみに、老いてもなお女性として生きようとするフリーダを演じるのは、フランスの大女優ジャンヌ・モロー(86歳/2014年2月現在)。その自由奔放な生き方は、ジャンヌ・モロー自身とも重なるところが大きい。その点もこの映画の見所のひとつと言えよう。

<中条>

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