『くちづけ』

◆Movie Infomation◆

■作品名:くちづけ
■販売元: TOEI COMPANY,LTD.
■製作年:2013年
■発売日: 2013年10月11日
■配給:東映
■上映時間:123分
■監督:堤幸彦
■脚本:宅間孝行
■出演:貫地谷しほり、竹中直人、宅間孝行

介護の仕事を通して、介護の仕事でできることを深く考える

知的障がい者の自立支援のためのグループホーム、「ひまわり荘」を舞台に繰り広げられるドラマ。この映画の題材として取り上げられているのは、高齢者ではなく知的障がい者だが、社会的弱者の自立がテーマということで、介護と共通する点は多々あるだろう。

元漫画家のいっぽん(竹中直人)は、知的障がいの娘・マコ(貫地谷しほり)を連れてひまわり荘にやってくる。マコはある出来事をきっかけに男性に恐怖心をもつようになるが、ひまわり荘で暮らすうーやん(宅間孝行)と出会って、次第に心を開いていく。そんな中、ひまわり荘の経営が困難になり、またいっぽんは深刻な病気を抱えてしまう。そしてマコを残して死ぬことは出来ないと思ういっぽんが、結果的に選んだ行動とは……

この映画はハッピー・エンドではない。障がいをもち介護や手助けが必要な人が、みんな自立できて一安心というようなファンタジーでは決してなく、リアルな閉塞感が悲しみとともに描かれている。いっぽんとマコの親子の周囲には、彼らを助けようとする人々が少なからずいた。それにもかかわらず起こった悲劇。だからこそ、今一度、介護の仕事を通して、いったい自分は何が出来るのだろうかということを、この作品を見終えたあとに、深く考えることになるだろう。

作品のオリジナルは、新聞のある事件記事を元に宅間孝行が自身の劇団「東京セレソンデラックス」のために制作した舞台作品である。映画も舞台のように、ほぼひまわり荘の情景だけでストーリーが展開し、舞台の雰囲気を感じさせる。貫地谷しほりはこの映画で第56回ブルーリボン賞・主演女優賞を獲得している。

<中条>

一覧を見る

関連記事

映画『ファーザー』アンソニー・ホ...

本年度のアカデミー最有力、是非介護業界の方は見て欲しい作品です。 認知症の父の視点から作られているので利用者の気持ちが解ると思い…

お知らせ

文学で「介護」に触れてみませんか...

昨年12月18日、直木賞と芥川賞の候補作品が発表されました。 日本の文学賞として有名な直木賞や芥川賞を受賞した作品の中には、介護…

お知らせ

『毎日がアルツハイマー』『毎日が...

◆Movie Infomation◆ ■作品名: 毎日がアルツハイマー 長編動画 2012年/93分/ドキュメンタリー 毎日がア…

身近にある介護

『カルテット!人生のオペラハウス...

◆Movie Infomation◆ ■作品名:カルテット!人生のオペラハウス ■販売元:ポニーキャニオン ■原題: Quart…

身近にある介護