介護でわかった、高齢者が本当に好きな食事とは?

毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「被介護者と食事」という話題を紹介します。

「介護」の話題になると、とかく「介護する側」の苦労ばかりが取り上げられがちだが、心身ともに一番辛い思いをしているのは、やはり「される側」の人たち。中でも、人間が生きていく上で必要不可欠な“食”に関するエピソードには、まだ介護が必要ではない私たちも考えさせられるようなケースが少なくない。

都内在住で、母親の介護をしているWさんの場合、介護をするようになって初めて母親の食事の好みを知ったという。Wさんは、これまでの自宅の食卓に並んできたメニューから、「母親は肉が好き」だということを疑いもなく思っていた。

しかし、介護状態となった母に食べたいと思うものを尋ねると、母から出てきたセリフは「魚が食べたい」。母が言うには、「父が肉好きで、それに合わせていただけ」で、肉は好きではなく、介護状態となった今、心置きなく魚を食べられることに満足しているという。

一方、都内のケアホームに入居しているXさんは、毎日1本、アイスキャンデーを食べるのを無上の楽しみとしている。それまでは自宅で暮し、幼い孫がいる手前、そのようなものを食べるのが憚られたというXさん。しかしそんなXさんが施設に入った今では、息子や娘が孫を連れてXさんを訪ねる際に、アイスキャンデーを持参するのが恒例行事となっており、それを一緒に食べるのが最大の楽しみとなっているという。

介護をする側にとっては、1日3度の食事は苦労のタネだが、一方では、脳梗塞で倒れて寝たきりだった80代の男性が、義歯を装着して咀嚼を繰り返したことで、歩行が可能になったという事例も存在する。そういった意味では、介護者側が食事を「回復への1つの可能性」とプラスに捉えることもできそうだ。

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