新しい生活様式も、訪問ヘルパーは一苦労!訪問介護利用者のコロナ対策は?

外出自粛解除も、感染対策は終わらず…

全国に発令された緊急事態宣言が5月末に解除され、東京都の「東京アラート」も解除され、自粛要請は徐々に緩和されつつあるが、まだまだ注意が必要な新型コロナウイルス。

一時はあらゆる店の棚から完全に消えたマスクも、ようやく買えるようになってきたが、介護現場での苦労は絶えない。

都内の訪問介護事業所で働くトミタさんはいう。

「われわれ訪問ヘルパーは、自粛要請期間中も変わらずに利用者さんのお宅を訪ねていましたが、正直に言って“ヒヤヒヤもの”の数か月でした。

介護業界で働く人間は普段から“清潔でいること”の大切さを知っており、衛生面にはことさら気を付けていますし、介護の資格を取る際には感染症についても勉強しましたが、なまじっか知識があるだけに、未知の感染症に対する恐怖感は人一倍ありました。

自分がウイルスに感染する怖さもありますが、万が一、私たち介護職が媒介してコロナウイルスを移してしまったら、80代、90代のお年寄りは命の危機にさらされます。

感染リスクを下げるため、使い捨ての手袋やマスク、エプロンを使ったり、身体介護を一部省略したり、ドアノブや便座などをこまめに消毒したりと、通常よりもやることが増えて、精神的にも肉体的にも疲れました」
 

新しい生活様式にも無頓着な利用者

今回の新型コロナ騒動について、政府は介護関係者に特別手当を出すことを決定。
巷からも、コロナ禍における介護業界への感謝の声は尽きないが、トミタさんは「感染しても仕方ない」と思う場面もあったという。

「利用者さんの中には、新型コロナ対策にまったく関心が無い方もいました。

換気の為に窓を開ければ、『寒いからさっさと閉めてくれ』、殺菌作業をすれば『オレはバイ菌か』、マスクを付けるようにお願いすれば、『そんな薄い布切れ1枚付けても意味がない』、挙句の果てには、『もうこんな年だから、コロナに感染したら“お迎え”だと思ってあきらめるよ』と、まったく普段どおりに生活しようとするのです」

トミタさんは上司にも相談したが、事業所は「訪問ヘルパーはマスク着用必須。利用者さんは高熱などの症状が見られた場合はマスク着用」というルール。
そのため、利用者さんに何とかして感染対策に協力してもらう手立てはないという。

 

外に出たがらない利用者の健康が心配!

一方では、正反対の利用者もいたという。

「元から外出が好きでない利用者さんが、新型コロナを理由に完全に一歩も家を出なくなってしまいました。

その方は6畳一間のアパートに住んでいるので、1日の運動量はほぼゼロ。それでは危険なので、ケアマネジャーとも相談しましたが、無理に外に連れ出すことも出来ず……このまま長引くと歩けなくなってしまうのではないかと、とても心配です」

ただ、基本的には本人の希望に沿うのがヘルパーの努め。色々な人の考え方や人生に触れることで自分自身が成長できるのも、ヘルパーの仕事の大きな魅力と言えそうだ。

     

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