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2024.3.5
【ポイント整理】介護職員の処遇改善補助金、勘違いで混乱も いま注意すべきことまとめ=小濱道博
2月から始まった「介護職員処遇改善支援補助金」であるが、現場では未だに混乱が生じている。混乱と言うより、処遇改善加算と同じであるという誤った認識を持っている人が多いと感じる。【小濱道博】
そもそも、制度が既に始まっているのに、処遇改善計画書の提出について行政の動きがないのだ。
1月25日に厚生労働省が発出したQ&Aには、「提出期日は各都道府県が適切に設定する」という趣旨の記載がある。しかし、もう3月だというのにほとんどの自治体からアナウンスがない状況である。
東京都と大阪府は早々に通知を出している。その提出期限は同じ。どちらも4月前半とされており、この原稿の執筆時点では正式な期日が未定のままだ。
多くの自治体は東京都に倣うだろうが、事業者は異なる場合も想定しつつ、こまめに自治体のホームページをチェックしなくてはならない。
1月の厚労省通知で示された補助金のポイントは、
(1)受給は2月分から5月分の4ヵ月限定で、6月分からは新たな処遇改善加算に包括されること。
(2)4月分と5月分の賃金改善は、基本給、または毎月決まって支払う手当で実施すること。それ以外の2月分、3月分、および3分の1未満の4月分、5月分は、一時金でも差し支えないこと。
(3)支給月は処遇改善加算などと合わせること。処遇改善加算を2月遅れで支給する場合、補助金も2月遅れで支給すること。
(4)今年6月以降も、この補助金を使って講じた賃金改善の水準を維持すること。
(5)賃金改善は、ベースアップ(賃金表の改訂により基本給などの水準を一律に引き上げること)が基本であること。処遇改善計画書には、ベースアップの見込みを記載すること。実績報告書には、ベースアップの実施の有無やベースアップ率などを記載すること。
(1)は、2月からの6000円相当の支給を令和6年度の介護報酬改定に組み込むための措置である。2月から加算を拡充した場合、令和5年度の期中改定となってしまう。このため、4ヵ月間のみ補助金で対応して、6月からは加算に統合することにした。大きな違いは、補助金では利用者負担が生じない一方で、加算では利用者負担が発生することである。
(2)は、これまでの「ベースアップ等支援加算」と解釈が異なるので注意が必要だ。
(3)も気をつけなければならない。処遇改善加算などの2月分を4月の給与で支給する場合、今回の補助金の2月分も4月の給与で支給することになる。
では、2月分を2月の給与で支給した場合はどうなるのか。補助金の支給は5月で終了する。新たな処遇改善加算の6月分は、8月の給与での支給となる。
そうすると、6月と7月の処遇改善分の資金源泉がないことになる。しかし、この2月間も処遇改善分の未支給は不可である。(4)において、6月以降も賃金改善の水準を維持することが要件となっているため、自腹での支給となってしまう。
(5)では、賃金表の改訂により基本給などの水準を一律に引き上げることが求められる。支給対象の職種においては、3分の1未満の一時金での支給が認められている部分以外、職員間での支給額に格差があってはならないということだ。同じ職種の場合は、全員一律に賃上げを行う必要がある。
同時に、このベースアップ率を実績報告書に記載しなければならない。実施していない場合は、その理由の記載が必要となる。
先日、講演でこうしたポイントを伝えたところ、参加者から質問があった。顧問の先生から、2月に、もしくは2月分と3月分を合わせて3月に、1円でも良いから支給することが必要だと指導されたと言うのだ。
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