紙おむつをそのまま下水へ 介護職の負担軽減へ来月から社会実験 国交省

国土交通省は28日、使用済み紙おむつを下水道に流して処理する仕組み作りを議論する有識者会議を開き、実用化に向けてこれから行う社会実験の概要を公表した。【北村俊輔】

 

新潟県南魚沼市の介護施設で来月から始め、月末まで実施する。システムが本格的に運用されれば、介護職の負担軽減や介護現場の環境改善につながると睨む。

 

下水道への紙オムツ受入実現に向けた検討会

 

実験では便などの汚物とおむつを自動で分ける仕組みを試す。下水道へ繋がった専用の分離装置を施設のトイレに設置。装置から出る排水が下水道設備に与える影響を、水量・水質などの観点から詳しく分析する。

 

汚物を分離されたおむつは装置内に溜められ、ゴミとして回収される。国交省は匂いが出ないか、ランニングコスト、収集・運搬の手間、介護職の仕事への影響などを調べる考えだ。

 

実験結果は来年2月の有識者会議に報告する。こうした検証を重ねていき、2022年度には介護現場へ実際に導入する際のガイドラインの策定にこぎ着けたいという。

 

この日の会合で、委員長を務める日本大学の森田弘昭教授は、「今後もデータに基づいた科学的な議論を進め、より良い形へもっていきたい」と話した。また国交省の担当者は、「紙おむつを下水道で処理できれば、利用者のQOLの向上や介護職の負担軽減、紙おむつの再資源化などが見込める。社会実験は希望に満ちた取り組みになる」と意欲をみせた。

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