訪問+通所の新サービス、多くの介護事業所が参入を検討する構え 課題では人材確保が最多

厚生労働省が来年度の介護報酬改定で創設することを検討している、訪問と通所を組み合わせた新しい複合型サービス − 。昨年度に実施された国の調査の結果で、既存の事業所の多くが参入を前向きに検討する意思を持っていることが明らかになった。

「参入を検討するつもりはない」と答えた事業所は、訪問介護で24.5%、通所介護で14.3%。介護報酬が適切な水準に設定されることなどが前提となるが、少なからぬ事業所が「検討したい」を選択していた。

このほか、必要な人材の確保を課題として捉えている事業者が多い実態も報告されている。

新たな複合型サービスを創設する構想は、マンパワーなどが足りないなか貴重な既存資源をより有効に活用していくことが目的。例えば、通所介護の事業所が利用者に必要な訪問サービスを提供できるようにすることで、現場がより柔軟に支援を展開できる環境を作る狙いがある。昨年末、国の審議会が今後の制度改正に向けてまとめた意見書に方針を盛り込んでいた。

厚労省は新たな複合型サービスを、包括報酬の「地域密着型サービス」のスキームで立ち上げる計画。これから年末にかけて、運営基準や報酬・加算のあり方などディテールを詰めていく考えだ。

この調査は、厚労省が三菱総合研究所に委託する形で昨年11月から今年1月にかけて実施したもの。訪問介護や訪問看護、通所介護、居宅介護支援など、全国4686の事業所から回答を得ている。

目立つ人材に関する不安

新たな複合型サービスで想定される課題をみると、訪問・通所の事業所では「人材確保が難しい」が最多。「人材教育・管理が難しい」「業務時間管理・勤怠管理が難しい」「適切な管理者がいない」なども目立ち、やはり人材に関する不安を持っているところが多いことが分かった。

調査結果のレポートではこうした現状を踏まえ、「訪問・通所の両方に対応できる人材の確保やその教育が難しい」「特に小規模な事業所で人材確保が困難となることが想定される」などと指摘されている。

有識者として調査に関わった全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長は、「事業者は大きな関心を寄せている。人材確保のハードルを越えやすくするよう、今の小規模多機能のように訪問サービスの担い手に資格要件を課さないなど、より柔軟な運営基準を設定する必要がある」と指摘。「ケアマネジャーを内部に組み込むのか、あるいは居宅介護支援の事業所に任せるのか、ということも大きな焦点だ。既存の小規模多機能、看護小規模多機能、訪問介護、通所介護との役割分担や機能の整理も含め、現場に混乱が生じないように検討を進めて欲しい」と話している。

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