日慢協「メディカルケアマネジャー研修」開始 かかりつけ医と連携しサービスをコーディネート

日本慢性期医療協会(橋本康子会長)は今年、「メディカルケアマネジャー」(医療介護支援専門員)の研修を新たに開始した。
医療に精通したケアマネジャーとして、かかりつけ医と連携し、医療・介護を行き来する高齢者へ必要なサービスをコーディネートする役割を期待する。
研修担当の富家隆樹事務局長(富家病院理事長)に聞いた。

 

――「メディカルケアマネジャー」の研修内容、ポイントを教えてください。

2日間(約15時間)で医療保険制度や入院機能の各役割、ポリファーマシー、認知症などを学ぶ(表)。対象はケアマネジャーの資格保有者で、履修修了後に認定証を発行する。

研修最後のケーススタディは私が担当している。提示した事例をもとに支援内容をグループで検討・発表するもの。
本人の心身状況や家族介護力に加え、性格や人生背景、家族関係まで具体的に設定した。
今から使える支援の実際を学ぶ機会としてもらいたい。

――研修立ち上げの経緯は。

現在、国ではかかりつけ医の法制化に向けた議論が行われている。
かかりつけ医機能の普及には在宅との橋渡し役が必須であり、生活全体を見ることができるケアマネジャーへの期待は大きい。
地域の医療機能、そこで提供される医療ケアに精通したケアマネジャーを養成することが目的だ。

地域包括ケアシステムで医療・介護連携が進む中、在宅利用者の居場所も変わりやすい。
例えば一時入院。地域包括ケア病棟、また回復期リハ病棟では何カ月ほど入院し、その間どのようなリハビリが行われているか。これを把握することで、退院時の予後予測ができ、在宅復帰後のケアの準備が行いやすくなるだろう。

――退院時カンファレンスの理解も深まるわけですね。

地域の医療機能を知っておくことは、円滑な入退院支援にもつながる。
よくあるのが、在宅で腰椎圧迫骨折をしたケース。
救急搬送されるが痛み止めをもらって在宅へ戻され、放っておくとADLが一気に低下するリスクがある。
地域包括ケア病棟で受け入れるルートを知っていれば、リハビリ等で状態を整えてから在宅へ返す、といった支援計画が検討できる。

加えて、在宅利用者の中には医療を受ける重度な人も多い。
人工呼吸器を使用している場合、受けられる公的なサービスは何か。週3回、透析で通院している場合、廃用症候群のリスクや通院日の食欲低下はどうか。
医療によって発生する社会的な問題、生活上の課題を捉えていただくことも重要だ。

――1月に第1回研修が早速行われました。感触はいかがですか。

2週間ほどの募集期間だったが、定員100人を超える128人の応募があった。
参加者の3割は当協会非会員。居宅、施設、グループホーム、看護小規模多機能と職場もさまざまだった。

環境が異なるケアマネ同士、かつ医療がテーマにという点において、ニーズの高い内容だったと自負している。研修後のアンケートの回答率も非常に高く、継続して実施する必要性を強く感じた。

2回目以降の研修は現在調整中だが、日本介護支援専門員協会にも協力を投げかけているところだ。

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